Q&A
Q=質問 A=回答 廣瀬先生 (指)=指導員が回答
【食道発声について】
T・Kさん(69歳)空腸移植
日により、また一日のうちでも声の良し悪しがありますが、練習によってそういうムラはなくなりますか。
私達の声は練習と訓練によって鍛えられた新声門から出ていますので、朝のうちのまだあまり使っていない時はどうしても出にくく、練習を重ねた午後の方が出やすく滑らかな声になるという事があると思います。日によって違うという件については、Tさんも私も食道再建をしていますので、喉に手を添えて話していますが、手の添え方や押える場所、力加減などによって声が出やすかったり出にくかったりする事があると思います。 (指)
E・Hさん(72歳) S・Kさん(69歳) A・Kさん(68歳)
早く話せるようになりたいです。連続発声が出来ません。大きい声で話したいです。
食道発声は、食道に入れた空気を使って話すので、食道に空気を入れる事と息継ぎが重要です。スムーズな息継ぎが出来れば会話も連続発声も出来るようになります。初心・初級の段階では、大きい声と言うよりはっきり明瞭に話す事が大切です。会話が上達して上級になってから大きい声の練習をして下さい。少ない空気で沢山喋ろうとすると語尾が消えるので、初めのうちは言葉を短く区切って明瞭に話す事が大事です。(指)
K・Hさん(64歳)
空気を吸うことが上手くできません。入っているのか否かが良くわかりません。
お茶呑み法でお茶を口の中の空気と一緒にゴクンと素早く飲めば必ず空気も食道に入ります。手を動かしてタイミング良く腹圧をかけて声を出すようにして下さい。鼻と口から空気を入れるように練習し、ゆっくり同一音の発声練習をしましょう。(指)
T・Fさん(89歳)
歳をとっているので体力的に発声がうまく進みません。電気喉頭に切り替えて練習したいと思いますが。
食道発声と電気喉頭は決して対立するものではなく、両方できる人も多くおられます。当会にも電気喉頭の教室もありますので一度試されては如何でしょうか。要は人と話が通じれば良い訳ですから、方法は何でも構わないと思います。食道発声に拘る必要は全くなく気楽に何でも試されたら如何でしょうか。
K・Sさん(61歳)皮膚移植
皮膚の足りない部分の完治が遅く、手術後5ヶ月経ってもかさぶたにならないで中が見えたままです。皮膚移植は必ず喉に手を当てないと声が出ないのですか。
手を当てるのは、そこで管を狭くして粘膜の振動が起こり易くしている、つまりそこで管楽器を作っているという事です。手で押さえる事でよく声が出ればそれが最善かと思います。皮膚移植や空腸移植の人で、稀に手で押さえないで話す人がいますが、それはあくまで工法上の問題で、押さえる場所などについては指導員とよく相談して下さい。
発声時に何故手を当てるかと言うと「食道発声は管楽器」だからです。空気が喉を通る時、何処か喉の一部の柔らかい粘膜を押さえて空気の通り道を狭くすると、空気の流れが速くなり振動して音が出ると言う事です。開き放しの筒を吹いても音が出ないように、皮膚で作った管が太過ぎたり筋肉で絞める事が出来なければ音は出ません。
【蠕動運動について】
K・Mさん(61歳)空腸移植
胃癌で胃を全摘しており、口→喉→空腸→食道残部→小腸とつながっています。空腸の蠕動運動の時は声が出ないような気がします。
私は銀鈴会に入会して1年ぐらいは、蠕動発作が激しく声が出なくなる事が度々ありました。蠕動が起きると空気が入らない、食べ物が喉に詰まり水を飲んで流そうとしても水も通らないという状態で苦しみました。蠕動は、物を食べたり話をしている時以外は、開閉の自覚がありません。食べ物が詰まったり、会話が出来なくなって蠕動が起きているのを自覚します。(指)
M・Aさん(75歳)空腸移植
蠕動という言葉を聞きますが、手術の後遺症としてどんな不具合が起きるのでしょうか。時々飲食した物ではない液が逆流しますがこの液の正体は何でしょうか。別に苦痛も不快感もありません。
蠕動は小腸が喉に移植されても本来持っている運動をする事です。長年にわたって小腸として生きてきたものをいきなり頸部に移しても、すぐにその場所に慣れず小腸の動きをするのは当然かも知れません。蠕動により食べた物が口に逆流する事もあり、この現象は若い方ほど蠕動が大きいようです。正体不明の液体が出てくるという件は、移植した小腸から出てくる液体で、人により症状が異なるようです。 (指)
【痰、咳、プロテクターについて】
T・Sさん(70歳)
喉に痰が詰まって声が出づらいのですが。
痰は気管、気管支、肺など呼吸器に入った異物を出すための大事なものです。痰が出ないようにすることは出来ません。また手術後暫くの間は気管が刺激に慣れていないため痰が増える傾向にありますが、工夫次第で少なくすることが出来ます。まずプロテクターを厚い物にして下さい。薄い物は異物が入りやすく、また薄いガーゼは吸い込んだり気管孔に貼り付いたりして却って刺激になります。またプロテクターの付け方が緩く気管孔が見える場合もありますが、これではプロテクターを付けている意味がありません。隙間が出来ない様に付けても、呼吸が苦しいということはありません。(指)
K・Sさん(61歳)皮膚移植
寝る時に横になると痰が気になりベッドを立てていますが、時間が経てば横になって眠れますか。
寝る時の痰については私も現在Tチューブを入れていますので、寝ていて痰が詰まる事もありますが、拭き取ればまた寝られます。痰が詰まって苦しいというような経験はありません。痰が詰まるのは湿度が30%から40%位に乾燥した時期に多く起こりますので、痰が固まって呼吸が苦しくなったりする時はネブライザーで痰を柔らかくすれば緩和できると思います。(指)
部屋の中に濡れたタオルを置くだけで湿度が10%から20%ほど上がるという説もありますが、痰が固まるのを防ぐ方法の一つが湿度を上げる事だと思いますのでプロテクターを濡らすなどの工夫をして気を付けて下さい。
O・Iさん(75歳) S・Sさん(72歳)空腸移植
咳き込むのはいつ頃まで続きますか。気管孔の呼吸で出る熱は、夏になると更に辛くなるのではないでしょうか。
気管孔の清掃時に綿棒を使うと咳き込むと言う事ですが、気管孔の周りは敏感なので綿棒などは刺激が強いと思います。気管孔から出る息は健常者が風邪をひいた時にマスクをした時のような感じです。受付に生地の厚いプロテクターや薄い物がありますが、それぞれに使い方がありますのでお尋ねください。気管孔を保護するプロテクターですから慣れる事が大切かと思います。(指)
Oさんは、術後2ヶ月ですから、これから慣れていかれると思います。綿棒で奥の方まで掃除する必要はありません。耳なども綿棒で奥まで掃除して傷つける事がありますので、気をつけて下さい。
【吸入器の使用について】
N・Yさん(61歳) M・Tさん(71歳)空腸移植
時々ひどくむせる時があります。痰を取るために吸入器を買いましたが使っていません。
むせると言う現象は、痰が溜まってその部分を刺激しているのかと思います。吸入器は使わないで済んでいるならそれでも良いかと思います。非常に乾燥したり痰がかさぶたになったりするようでしたら使って下さい。
【ネブライザーの使用について】
N・Hさん(60歳)空腸移植
ネブライザーの使用について、その頻度と適正時間を教えて下さい。
ネブライザーの使用については人によって異なります。私は冬の乾燥がひどく痰が硬くなって出にくくなった時に使いますが普段は殆ど使いません。しかし風邪気味で喉がヒリヒリしたり、また気管の血管が切れて痰に血が混じった時は一日に2、3回10分位使います。目安は流動性のある痰が出てくるまで使用し、特に薬剤などは使わず水道のろ過水です。(指)
【Tチューブについて】
K・Yさん(64歳)空腸移植 F・Fさん(52歳)
首が絞めつけられるように肩もすごく痛く、日が経っても少しも緩和されません。気管孔にTチューブを付けているのですが、固定するテープでかぶれて痛いです。担当医はTチューブを一生付ける必要があると言っていますがそうなのでしょうか。
Kさんは、両側の廓清手術を受けておられ、術後6ヶ月と日も浅いので、傷口が硬く肩も張っているのでリハビリに注意しながらやって下さい。またTさんは、癌研で手術され気管孔にTチューブを使用されているという事ですが、Tチューブは気管孔が狭くならないように入れているものと考えられます。シリコン製の刺激が少ない材質なので気管孔に入れていてもそれ程違和感はないと思います。気管孔が狭くなった場合、手術で拡げることもあり、チューブだけで拡がる場合もありますので、良く主治医と相談して下さい。Tチューブは、一生付けなければならないとは考えていません。会話の時などには外して使っている人もおられますので、主治医と相談されて臨機応変に使われるのが良いと思います。
【鼻がかめない】
U・Aさん(67歳)
鼻水がいつも出ているようなので、鼻をかめるようになりたいです。
私達は気管孔で呼吸をしているので鼻は空気を吸う力がありません。ティッシュを当て食道発声の要領で空気を口から入れて鼻から出します。この時に片方の鼻を押さえて片方ずつフンッと出せば出ます。(指)
喉頭を取って鼻で息が出来なくなると多くの方が鼻の粘膜が痩せて鼻水も少なくなり、気管から空気が入らないからアレルギーも少なくなるなどがみられます。しかし食道発声を覚えると口や鼻からも空気が入るようになるので鼻がかめるようになり、匂いも分かるようにもなります。
【廓清手術の後遺症・痛みについて】
K・Sさん(67) I・Aさん(59歳)空腸移植
首を左に曲げると、指先まで痺れます。手術後ずっと薬を飲んでいますがなかなか治りません。1ヶ月前から右の肩にも痛みがあり薬を服用しています。
Kさんは、両方の廓清手術をされているので、首の曲げ方によって痛みや痺れがあるのは考えられる事で、鎮痛剤は効いても放置すると固まってしまうので、むしろリハビリなどで首肩を動かした方が良いと思います。傷は術後6ヶ月ではまだまだ硬く、傷口が硬い間は痛みや痺れがあります。リハビリは肩が固まらない為のもので痛みが取れる訳ではありません。鎮痛剤は痛い時には使用もやむを得ないでしょうが、強い非ステロイド性の薬は痛みを止めることには効いても、胃腸に出血が見られ、胃潰瘍、腸の出血などがあるので、飲み方には留意して程々に使われるのが良いかと思います。
K・Yさん(77歳)空腸移植
手術後呼吸がしにくいような感じがします。首の周りを指で押さえると痛いときがありますが、いつ頃まで続くのでしょうか。
普通に気管孔が開いていれば問題ないと思いますが、もし呼吸がしづらいと感じるなら呼吸の働きを調べる検査はいろいろありますので、主治医を介して呼吸の働きの検査を受けてみるのも良いかと思います。Kさんの年齢を考えると以前煙草を吸われていた場合、肺に影響が表れる事もあり、手術の影響だけではない可能性もありますので、呼吸器内科を含め検査をされた方が良いと思います。Kさんは、両方の廓清手術を受けておられ、術後まだ10ヶ月ですから、首周りを押さえると痛いと感じるのは当然と思います。痛みは傷口が治る過程で起こる事だと考えて、リハビリをお勧めします。
【喉摘者の風邪について】
K・Tさん(64歳)
風邪をひいたらどんな症状になりますか。
風邪は万病のもとと言いますから注意して下さい。私は喉摘者になって20年になりその間5回ほど風邪をひきました。先日、血痰が出たので検査をしたら風邪で気管孔の壁に傷が付いていました。喉摘者にとって風邪は大敵ですから、風邪をひいたと思ったらまず近くの病院で検査して、長引くようなら手術をした病院で主治医に診て頂くのが良いと思います。(指)
健常者の時は、風邪の形が鼻風邪だったものが、今度は気管風邪になる訳で、気管支や肺につながりやすいので、特に乾燥した時期には注意しなければなりません。気管の壁は本来体内の奥で湿気に守られている部分なので、ちょっと乾くと血管が破れて血痰が出るような事がありますが、血痰そのものはあまり奥の方から出てくる事は少ないので心配せずに湿気を与え安静にして、治らない場合は耳鼻科の先生に相談して下さい。
