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女性らしい食道発声法

  食道の入口部で出す食道発声は、基本機能として男女差はないと言える。

アメリカの『話し言葉』 という論文の中で、食道発声における男声女声の区別がどれくらい出来るか、と言う調査をした例が紹介されている。

食道発声の男性18名、女性15名が短い文章を朗読した録音テープを、88名の健常者に聞かせたところ、男性18名の声は全て男声と識別されたが、15名の女性の声は、女声11名、男声2 名、不明2名と言う結果であった。

では、女声らしい声の食道発声とは如何なるものかであるだろうか・・・。

 声の質
  • やわらかい、口から空気のもれる声
  • やわらかい、ひびく声
  話し方
  • 速さ、抑揚、音のつながり具合、間のとり方などにより女性的な感じになる。
  • 電話など顔の見えない会話では、ゆっくりと長めの言葉で話すのが良い。
     『はい、新美です。』と言うより『はい、新美でございます。』と言うことで女性らしく聞こえる。
  声の出し方

以下は女性の声だけのためだけでなく、男女共通の注意点であるが、特に女性の場合には、荒々しい声質や話し方を避けることが重要である。

  • 下腹に力を入れすぎると、低い声になり女声らしさを損なう。
  • 胃のあたりから両横に少し力を入れるようにして「あ・・」と発声するとやわらかい声になる。
  • 空気を喉のどの位置にぶつけるかで声の高低が決まる。低い位置では低い声、高い位置では高い声となる。これを意識して自分の声の高低の幅を確認して見ると良い。
  • 1音ずつ「アー、アー、アー、・・・・」と低い音から音階を上げるのと、高い音から下げるのと両方を発声してみて1オクターブ程度が出せるかどうかを試みる。音域の拡大は、練習を続ける事によって可能となる。
  • テープレコーダーを使って自分の声を聞いてみるのが有効な方法である。
  聞きやすい声や話し方
  • 「マ行」「ナ行」は鼻に抜けるとやわらかく自然な声になる。
  • 「強すぎない程度」の強さの発声が必要である。
  • 言葉の切り場所は、空気の切れ目ではなく言葉として自然な個所で切ることに留意しよう。
  • 吸引法のみにこだわる必要はない。上手な人の発声を分析すると、吸引法に子音注入法が無意識のうちに自然に加わり自然な発声を可能としているのが判る。
  • ひとつの言葉、例えば「コンニチハ・・・」等の挨拶を色々な対象(目上の人、親しい友人、小さい子供)を想定し、相手によって異なるトーンの発声を練習しよう。
  気持ちの持ち方
  • 女性は男性よりもデリケートであり、声を失っただけではなく手術によって頚部に気管孔が開き、その他の身体にも大きな傷跡が残ることはとても辛いことである。それ故に、次第に人を避け孤独になりがちである。
  • 大切な事は、勇気を出して外に出て美しいものに感動したり、発声教室へ出掛けて多くの同じ境遇の人達の存在を知ることである。
  • 多くの仲間と接し積極的な生き方をする事が声を出す為の第一歩である。
 男性への提言

女性喉摘者にとっての「身体のキズ」は、男性よりも遥かに大きな「心のキズ」になっていることを認識して欲しい。また、女性特有の問題が数多くあることを知って欲しい。

 嗅覚に関して
  • 喉摘者は、手術によって嗅覚を失うこととなり、女性にとっては台所仕事で大きな支障が生じる。
  • ガスの取り扱いには注意を要し、ガスを使った後は必ず元栓を閉める習慣付けが必要である。
  • 食材の腐敗にも注意が必要で、日数が経ったものや変色したものは思い切って捨てよう。
 襟元について
  • 喉摘者は、気管孔があるために「えりもと」を直に見せられない・・と言う大きなハンデがある。
  • 気候の涼しい時には、ハイネックやトックリのセーターなどで手術前と変わらない着方が出来るが、夏場の暑い時には大きな問題である。但し、もう以前のようなオシャレは出来ない・・と悲しむのではなく、考え方を少し変え、綺麗な レース糸やビーズを使い、洋服の色に合わせた個性あるネックレスやプロテクターを作るなどで、オシャレの工夫をすると悩むよりもむしろ新しい楽しみが生まれてくる。